やりたいことで生きていきたいけど、自分が本当にやりたいことって何だろう。ぼんやりとやりたいことはあるけれど、それで生きていけるのだろうか?と思う人が多いと思います。いざ、やりたいことを探してみようと思ったら、はじめはそのように考えて当然ですよね。考えはじめるという取っ掛かりはモチベーションがあるということなので、それは素晴らしいことであり、その疑問を一つずつクリアにしていくこと、そのプロセス自体が大変貴重なことだと思います。
自己理解の重要性
八木 仁平『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』(KADOKAWA、2020/5/28) によると、やりたいことを探すためにステップがいくつかあります。そのステップの目的は自己理解を深めるために使われます。なぜ自己理解が重要かというと、いまの世の中、多すぎる選択肢によって自身のやりたいことがボヤけてしまうという問題があるからです。その多くの選択肢から適切なフィルターをかけてフォーカスする領域を絞るためにも、自己理解を深めて選択基準を作っていく必要があります。
選択肢や時代の変化に惑わされない
現在はVUCA時代*とも呼ばれて、予測が難しい時代となっています。自己理解をすることは自身の内面にあるものを分析して本当にやりたいことに対する基準を作るためのものです。外部環境に惑わされないためにも自己理解を進めておくことをおすすめします。
- VUCAは下記の頭文字をとったもの
- Volatility(変動性)
- Uncertainty(不確実性)
- Complexity(複雑性)
- Ambiguity(曖昧性)
自己理解を深める体系的なアプローチ
ではどうやって自己理解を深めていくかですが、下記3つのポイントを掘り下げていくアプローチを提唱しています。それらを掛け合わせることで本来の自分としてやりたいことを探していきます。
- 大事なこと(価値観)
- 得意なこと(才能)
- 好きなこと(情熱)
この3つのそれぞれの理解を深めていき、それらが重なりあったところが本来の自分がやりたいことであり、天職につながるものになります。
得意なことについての留意点
3つのポイントのうち、好きなことと得意なことは留意点があります。
これまで、私の仕事の中でも、部下や同僚のキャリア相談があったときに”好き”と”得意”のマトリクスをホワイトボードなどに書きながら話し合いをしたものです。
ただ、ここで議論していた”得意”というものは、どちらかというとスキルセット(技能や資格・知識)という観点での話が主でした。自己理解を深めていく”得意”というのは才能ののことをいっており、自然とできているその人の特性のようなものです。
スキルセットで議論をするのは、限られた範囲内でのチーム配置の適正化やプロジェクトの成功率向上には役立ちますが、天職を探すという目的からすると近視眼的な考えに制限されてしまいます。
才能で考えて、不得意や嫌いも含むマトリクスで考えるようなものではなくなります。好きと得意(才能)をそれぞれで抽出して重ね合わせ・掛け合わせをしていくという作業になります。
才能とは
才能と聞くと、なにか生まれ持った特別にアドバンテージをもった能力というイメージがありますが、ここでは本人が自然に出来ている特性のことを指しています。
例 : 飽きっぽいが新しいことにどんどん取り組む
といったような、ある視点からみれば短所(飽きっぽい)になるが、違う視点でみれば長所(新しいことにどんどん取り組む)になる表裏一体の特性と考えてもらうといいです。良いも悪いもなく、特性を理解すれば自身が活きることを見つけやすくなります。
その他、押さえておくポイント
自己理解を進めて、まずは自分のために生きることで、結果として周囲の関係者のためになるという考えで取り組む
どうしても他を優先させる状況の人は多いのが現実です。しがらみと言われるものが最たる例でしょう。自己理解をして最終的にそこが最適解ということで落ち着くことも可能性としてありますが、まずは自身の気持ちを素直に分析しておくことをお勧めします。
一生かけてという基準で考えないように今やりたいかどうかを基準で自己理解を進める
「あれ?やりたいことや天職って一生のものではないの?」と思うかもしれません。ここで一生と考えて自己理解を取り組むとはじめのうちから選択肢が意図的に少なくする作用が起こる可能性があります。今一番やりたいことを見つけて、それに向かうことで、結果的に一生につなげるくらいの気持ちで取り組みましょう。